無駄な抵抗はやめろ(2024年_1月号)

稲盛和夫塾長を追っかけて、サンパウロまで一緒に行ったソウルメイトの元米沢商工会議所会頭酒井彰さんから、孫正義氏の講演を聞くようにと連絡があったので早速 YouTube で拝聴した。

孫氏は10 年以内に AGI(Artifical General Intelligence)の時代がやってくるというのだ。AGI とは AI が人間の英知をすべての分野で抜き去り、人類の英知の総和の 10倍に達した状態だという。その時、世の中はどう変わっていくのだろう。人間って何?
仕事って何?会社って何?人生も、社会の在り方も、産業もありとあらゆるものが根底から変わるというのだ。

ところで<知能の強さ>とは何だろう?ハードウェア的には➀ニューロン(脳細胞)の数であり、ソフトウェア的には➁学習による強化だという。
<AI の強さ>も全く同じで➀AI チップ(ニューラルエンジン)の数と➁AI トレーニング+推論の強化といえる。そして生成 AI は自ら学習し、トレーニングし、推論し、さらに人間の持つ機能の目、耳、口や触覚、そして手足や指の機能を持つに至っている。いまや天気予報とか囲碁とか様々な面で既に人間の知能を抜いており、10年以内には人間の英知の総和の 10 倍を超えて AGI に進化するというのだ。人間は知能によって道具を作り、文明を起こし、文化を生み出し地球上の頂点に立ったが、AGI と人間との知能の差は 10:1 となり、さらにAGI は 20 年後には人間の叡智の総和の 10,000 倍になり ASI(Artifical Super Intelligence)になることは疑いのないことだという。

現在 ChatGPT の企業における使用率は USA で51%、日本で 7%、しかも日本では使用を禁止しているも企業あるという。孫氏はそんなことでどうするのだと日本の経営者を叱咤する。ChatGPTを使わないのは 150 年前に生まれた電気や自動車をその当時の人々が使わないのと同じだという。
新しい知識を使わないのはなぜなのだと詰問する。
そんな人生でよいのかと孫氏は我々に迫るのだ。
ChatGPT の使用には勿論リスクもあるだろう。自動車は便利だけれど危険だから規制があるのと同じように ChatGPT や AGI も規制が必要だ。しかし、使わないということは進化しないということだ。
無駄な抵抗はやめろと孫氏はいう。

孫氏は毎日 GPT4 を使っているという。GPT で知識を集めるだけではダメだ。ディベートの相手として使い、知恵の相談相手にしている。GPT に相談し、返答に反論してさらに返答を求め、それを繰返して自分の考えをまとめるのだという。時
には GPT 側が「おっしゃる通りです」と降参することもあるらしい。最近では、GPT の中にキャラクターをいくつか入れてリベートをさせ、時々茶々を入れ結論を導き出しているという。ソフトバンクの役員より安いし頼りになると冗談を言っていた。

AGI に取組んだ企業や人々が 10 年後、20 年後に人類の中心で活躍し、リード役になるだろう。

例えばこんな世界がやってくるのだ。
❶ 自動運転…人間が運転するから事故が起こるの だ。自動運転なら事故は 1/10000 になる。
❷ 需要と供給のマッチング…必要な時に必要な量 だけ供給する Just in Time は秒単位で行われる。滞留在庫≒不良在庫は発生しない。
❸ カスタマーサービス…コールセンターでは マニュアルに沿った機械的な受け答えでは なく、心のひだに寄り添った個別対応の人 間らしいサービスが提供される。
❹ 投資相談… “I wish rich(お金持ちになりたい)” と人間は願望を言えばよい。あなたの現状と方針に沿って最適解が得られる。料金は wish の価値に応じて決まるだろう。
❺ 遺伝子解析…個別に最適な医療が用意される。 病気による死亡は激減するだろう。
 

孫正義氏の講演は危機感に迫った必死の訴えだった。ぜひ皆様にもYouTubeで聞いて頂きたい。

 

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