山形相続サポートセンター長 税理士・行政書士 白田 文
“贈与の成立”については、税務的なトラブルが生じる場合があります。
相続税の税務調査で、被相続人が子や孫に基礎控除の範囲内の現金を毎年贈与してきたつもりだったのに「名義借用財産」との指摘を受け、修正申告することになる場合があります。「無駄遣いされるといけないので、本人には内緒にしていた」というのでは法的には贈与は成立せず、被相続人名義ではありませんが“実質的には被相続人の財産”ということになります。
このようなことを防ぐには、贈与の事実についての客観的な証拠が必要です。
①現金で贈与する場合は通帳への記載、不動産の場合は所有権移転登記、株式の場合は名義変更・配当振込先の変更など、引渡しが客観的に分かるようにしておきましょう。
(不動産の名義変更費用は、将来譲渡した際の経費に計上できます。事業を行っている場合は、不動産所得や事業所得の経費に計上できますので、忘れずに領収書を入手して保管しておきましょう。)
②受贈財産である現金預金については、そのお金を自由に使える状態にしておく使用収益権の確保が必要です。
(もらった方が通帳・印鑑・証書などを保管し、自分で管理・運用しましょう。贈与者が実質的に支配しているような状態では、贈与したとは言えません。もらった方の生活費に使用している通帳に振り込むのが間違いのない方法です。)
③お互いの意思を確認するため贈与契約書を残しておくことも、贈与の立証に有効です。