生 涯 現 役(2026年_9月号)

昨年、所用で横浜の中華街に行った際、手相見の看板が目に入りフラッとお店に入ったところ、私の手のひらをジーっと見ていた占い師から開口一番「あなたは生涯現役」だと言われた。
間もなく80 歳の今も身体に支障はないので毎朝所員と同様に会社に行き、何やかやと忙しく仕事をしている。冬には友人たちと毎年ニセコや長野にスキーに行き、年に2、3 回は視察や研修を兼ねて海外旅行をしている。今や、長生きをして「生涯現役」を貫きそしてコロリと行くのが私の人生目標となった。

ところが、日本講演新聞の8 月17 日号にケアマネージャーで落語家の介護亭楽珍氏の「長生きは本当に幸せなの?」という講演録が載っていてショックを受けることになる。今、日本には100 歳以上の人が9 万9700 人いるのだそうだ。調査を始めた1963 年には153 人だったからこの半世紀で0 人から10 万人に増えたようなものだ。
今や長生きしたいと思えば長生きできる時代だという。

問題は、痛いところもなく、悪いところもなく、誰にも迷惑をかけずにピンピン生きて、都合のいいところでコロッと死ぬことができるか、ということだ。介護亭楽珍氏は、人生そんなうまい具合にはいかないという。若いころのように何でも食べられ、痛いところもなく、100 メートル走れる、そんな身体がずっと続いてコロッと亡くなるなんてあり得ないという。身体はだんだん衰え、死はじわじわ近づいてくるのだという。

京セラ名誉会長で盛和塾塾長だった稲盛和夫氏は2022 年8 月に90 歳で亡くなられた。盛和塾は3 年前の2019 年12 月に閉塾、その2、3 年前から盛和塾にはメッセージだけの出席となっていたので稲盛氏が出席した多分85 歳ころの最後の盛和塾の懇親会で稲盛氏が「俺はもう早く死にたいよ」というのを聞いて近くにいた塾生たちがびっくりしたという。小さな町工場だった京セラを世界的な企業に育て上げ、第二電電(現・KDDI)を創業し、赤字続きだった日本航空を再建して3 年足らずで再上場させた、あんなに輝き、みんなに敬愛され、経営の神様と言われた稲盛氏がそんなことを思っているのかと愕然としたという。

若いころには全く分からないことなのだが、長生きすれば痛いところも増え、やれないことも増えてくる。最期が近づくほど過酷な時間が増えるのだという。幸せは人生の長さに比例しているように思われているが、必ずしもそうではないということらしい。

人生の最後の望みは何なのだろう。「望まない治療はされたくない」では、望む治療とは何ですか?「安心して過ごしたい」では、安心とは何ですか?「お金のことで家族がもめないようにしておきたい」そんなお金があるなら使い切りましょう。「家族に迷惑かけたくない」では、迷惑って何ですか?と介護亭楽珍氏は鋭く問うてくる。

高齢者になってかける迷惑は迷惑ではありません。助け合い程度のことです。「チョット頼むよ」「イイヨ」「ありがとね」こんな関係だという。
迷惑だと思って何も言わずに死んでいく方がよっぽど迷惑だという。行きたいところがあれば行けるときに行こう。自分の人生を豊かにするためにお金を使おう。豊かな人生の最終章を送るためには、今から何をするのか考えようとおっしゃる。

さて、人生の最終章を迎えるにあたり何をすればいいのだろう。まずは健康を維持するのが大前提だ。➀週2 回のジムを続けよう、➁ストレス解消と肉体労働を兼ねて畑づくりを続ける、➂今所属している合唱団を続け、良い音楽を聴こう、そして周囲の方は迷惑に思うかもしれないのだが➃あさひ会計や父が創業した会社の経営に携わっていこう。社員たちには、チャレンジ精神をもって私より良いアイデアを出し、良い行動をして、良いフィロソフィをもって私を乗り越えてほしいと思う。

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