目からウロコの新卒採用(2023年_11月号)

“新卒採用の成功の型を限定公開” と銘打って「採用革新セミナー」を開催した。講師は新卒採用コンサルティング会社㈱レガシードの近藤悦康社長だ。㈱レガシードは正社員 50名の会社だが新卒応募者数が 17,000 名を超え、2021 年度の大学生が選ぶ人気インターンシップランキングでは中小企業にも拘らずニトリ、ANA、資生堂、NTTデータ等に続く全国 10 位に位置付けられた。

講演後の質疑応答では、皆さんが「目からウロコ」だったと感想を述べ、何と参加企業の半数近くがレガシードとの個別面談を希望する結果となった。講演の内容をたどってみよう。

1)中小企業に優秀な人材は来ないという勘違い

レガシードは創業 3 年目、社員 10 数名の頃にリクルートを含む 13 社から内定を獲得していた男子学生の入社を実現している。さらに翌年には星野リゾートほか数社から内定を得ていた大阪大卒の女子学生を獲得している。

あさひ会計も 7 年前からレガシードの指導を受けているが、当時約 60 名の社員のときに応募数360 名、個別の会社説明会参加者数 85 名、その中から選りすぐって優秀な新卒 6 名を採用し今やあさひ会計の中核となっている。会計事務所業界もご多分に漏れず人材不足が今や業界にとって最大の課題となっているなか、他事務所の先生方は「あさひ会計を除いて」と枕詞をつけて人材不足を論じているほどだ。最近では銀行の内定を蹴ってあさひ会計に入社したり、新卒入社 1 年目で税理士試験に科目合格(5 科目合格すれば税理士となる)したり、既に学生時代に 2 科目に合格した学生が入社するなど優秀な人材が集まっている。

他社でもレガシードのコンサル先で社員 9 名の塗装業の会社が 3 名の大卒を獲得するなど中小企業が大卒新人を獲得する事例に事欠かない。

では、なぜ中小企業に優秀な人材は来ないと勘違いしてしまうのだろうか。近藤社長は、現在時点での大企業と自社の企業規模や知名度や福利厚生等の労働条件を比較するからだという。社長自身が将来こうありたいというイメージをしっかり持ち、未来の自社像を学生たちに訴えれば、新卒学生の上位 5~20%(約 2 万人~8 万人)は➀未来に希望のある会社を、➁自ら創造できる会社を、➂困難もあるが自己が成長できる会社を選ぶというのだ。それは優秀な人材ほど、成長を目指す志の高い経営者に魅力を感じるからだという。

優秀な人材は、大手企業の歯車になって自分の能力や才能を封印してしまうよりも、小さくとも自分の能力や才能次第で企業と共に成長できる会社の方がエキサイティングだと感じるのだ。近藤社長は、優秀な若者の期待に応える新卒採用活動こそが自社を魅力的で将来性のある会社に変えていくためのイノベーション活動だという。

2)3 月から採用活動が始まるという勘違い

かつて経団連が 3月を採用活動の解禁日としていたことから 3 月から採用活動を始める会社が多いが、近年では大学 3 年生の 3 月には内定が決まっているケースが多い。あさひ会計でも今年 10 月時点で、2025 卒(現在3年生)の学生 4 名に対して実質内定を出しており、来年2月にはさらに 2 , 3 名に内定を出す予定だ。これは数回の連続したインターンシップを通じ学生を選考している故可能といえる。

3)新卒新人は即戦力にならないという勘違い

実は能力の低い、あるいは適性が低い人材を後から現場で教育して育て上げるのは至難の業だ。
故に、どのような能力を持った人材を採用すべきか具体的に明文化(成果目標を含む)しておく必要がある。その上で、内定期間中にマインド・スキル・ナレッジ研修を行い、即戦力化を図る。その為には内定者のアルバイトも有効な手段だ。

この他、近藤社長には新卒採用活動を通じて会社全体をイノベートする手法を様々教えて頂いたが、「経営者は、社員の幸せをめざさなければならないが、幸せは与えられるものではなく自らが勝ち取るものだ」との言葉が印象に残った。

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