着物のおはなし(2013_11月号)

着物のおはなし(2013_11月号)

監査5部  西塚 顕子

秋分の候、結婚式にご招待いただきました。

久しぶりのおよばれに何を着て行ったら良いか大騒ぎです。

着物にしようか、いや単衣(ひとえ)を持っていない、ドレスにしようか、それともワンピース?いっそブラックフォーマルにしようか、いやいや親族でもないのに…。アラフォーの私としては、華やかでありながらも大人の女性としてふさわしい格好で出席しなくてはいけません。

「10月だったら袷(あわせ)を着て行けるんだけどな。着物屋さんとか、結婚式場の人は、今は空調が効いてるし袷でもいいですよって言うんだよね」と友人に相談したところ、「いいんじゃないの、花嫁さんの衣装も袷だし、振袖はもちろん袷でしょ」と。

着物を着る方は当然ご存知の事ですが、着物にも洋服と同じように季節があるのです。

10月から5月は「袷」といって裏をつけて仕立てた着物、6月、9月は「単衣」といって裏をつけずに仕立てた透けない着物、7月、8月は薄物といって「絽(ろ)」や「紗(さ・しゃ)」の薄くて透ける着物。

お招きいただいた9月は、本来単衣の季節ですが、花嫁衣装に夏物はほとんどない事や、写真を撮影した場合(ご親族の集合写真)もピラピラして袷に比べて良く映らないということ、また、衣を重ねることは慶事の礼装には縁起が良い等の話もあり、結婚式での袷着用は暗黙の了解という風潮にあるようです。

また、着物には「格」というモノもあり、それによって着て行ける場所が違います。

「着物は着る時を選ぶから」という一言で全てを教えてくださった美容室の先生。結婚式の前日、美容室を訪問して花嫁さんさながらに念入りな着付けの打合せで帯や小物を決定、“お支度”をして出席いたしました。

当日の花嫁さんはとても綺麗で幸せそうでこちらまでうれしくなりました。

温暖化の影響で5月や10月でも真夏日があったりと、ただでさえ昔ながらのきまりごとやしきたりに則るのが大変な現代ですが、クリスマス、お正月、初詣と着物が似合うこの時期に、しきたりにとらわれるだけではなく、楽しく装っておでかけしてみてはいかがでしょうか。

 

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