株式会社旭ブレインズ 川口 潤
先日、中華料理屋で食事をしていた時のことです。皿を手で持ち食材を取り分けていたところ、「中華料理では取り分ける時も食べる時も取り皿は一切手で持ってはいけないんだよ」とある方に指摘をされました。
知らない人にとっては気にならないことでも、知っている人からするともの凄く気になってしまう、時には不快にさえ感じてしまう、それがマナーです。
ビジネスにおいて、マナーはあらゆる場面で存在します。あいさつ、身だしなみ、言葉づかい、来客応対、名刺交換、電話応対、電子メール…、知らないうちに恥ずかしい思いをしている、最悪の場合、相手に不快な思いをさせている、ということはないでしょうか。
佐藤知恭氏の「グッドマンの法則」によると、
顧客の非好意的な口コミの影響は、
満足した顧客の好意的な口コミの影響の
2倍も強く販売の足を引っ張る※
とされています。
つまり、「あの店は良い」「あの従業員は対応が良い」という良い情報より、「あの店は感じが悪い」「あの従業員は最低だ」という悪い情報の方が、2倍も多くの人に伝わってしまうということです。
従業員にマナーを教える場合には、特定の従業員のマナーの向上を図るのではなく、会社全体のマナーの底上げを目指すことが大切です。
マナーは絶対的なものではなく、時代や場所によって求められるマナーが変わることもあります。しかし、常に求められるものは、マナーの根底にある “相手への思いやり”です。思いやりの心は、表現してこそ相手に伝わります。言葉や態度で示さない限り、相手には伝わりません。
マナーの「心」を表現するためには、マナーの「形」を知らなければなりません。「形」から入ることも時には必要です。まずは形を知り、その上で心を込めた表現ができるようになればいいと思います。
また、「知っているけれどもできていない」「知っているけれども実際にはやっていない」ということもよくあります。マナーが実践できているかどうか、この機会にぜひ再確認してみてください。
旭ブレインズではマナー研修もご用意しておりますので、ぜひご活用ください。
※佐藤知恭著『体系:消費者対応企業戦略』(八千代出版社・1986)より