税務調査の日常(2016_5月号)

税務調査の日常(2016_5月号)

公認会計士・税理士 田牧 大祐

4月から5月は、3月決算の申告業務が重なり、会計事務所にとっては1年間で最も忙しい時期ですが、税務調査の連絡もそれなりにある時期です。

職員A「田牧さん、税務署からS社の調査をしたいと電話がありました。希望時期は4月〇日から3日間だそうです。」

田牧「その日程は立会が難しいから、S社に確認してよければ、6月〇日からにしてくださいと税務署に連絡しといて(※1)。」

職員A「田牧さん、6月〇日からになりました。事前通知(※2)は近くなってから連絡があるそうです。私、初めての税務調査なのですが…」

田牧「Aくん、この時期に重たい調査はないよ。調査官の人事評価は3月で締めるんだけど、異動が7月でしょ。実は4月から6月の調査は、頑張って増差所得をとっても、彼らの評価にならないからね(※3)。この時期はやる気の出ない時期なんだね。もっと言うとこの時期に調査対象になったS社は、税務署から見て問題はあまりないと思われている会社の部類になっているということだね。Aくん、よかったね。」

※1 調査官の希望日に合わせる必要はありません。都合で変更出来ます。

※2 税務調査にあたっては「調査開始日前までに相当の時間的余裕をおいて」通知しないといけないことになっており、調査日時、場所、調査税目等が事前に通知されます。
ご興味のある方は、国税庁のホームページにある「税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)」をご覧ください。
なお、事前通知の無い無予告調査で調査官が来た場合は、税理士立会のもとでないと承諾しないと回答し、認めないのが良いでしょう。
「調査には協力するが、今日はダメ」が正解です。帰って行くでしょう。

※3 8月から11月に調査が来る場合は、調査官が問題あり(増差所得がとれそう、重加算税が取れる、すでに情報をもっている)と考えている会社ということです。
この時期の増差所得は彼らには金賞になるので、秋はやる気が出るようです。

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