簡易企業評価のすすめ(2019年_11月号)


 
 中小企業の経営者は概ね65歳から73歳の8年間の間に引退を考えるという。ところが帝国データバンクの調査によれば全国で約66%の企業で後継者がいないという結果が出ている。もはや事業承継問題をどう解決するかは一事業者の問題ではなく、日本国全体の存亡にかかわる重大事といえる。

 事業承継(経営者にとっての出口)の手段は、①上場するか、②後継者(親族、社員)へ承継するか、③廃業するか、④M&Aにより企業を譲渡するかの4つしかない。

この中で①の「上場」は、中小企業にとってハードルが高い。

②の「親族、社員への承継」が現状では一番多いのだが、最近では
 ㋑そもそも子供がいなかったり、
 ㋺子供が大手企業で出世しており戻ってこなかったり、
 ㋩企業の先行きが不安で継がせたくなかったり、
 ㊁社内に子供はいるが能力的に継がせられなかったりと承継が困難になりつつある。
また、社員への承継も
 ㋑株式を譲り受ける資金が用意できなかったり、
 ㋺金融機関への個人保証を(親族の反対等で)提供できなかったり、
 ㋩業務は出来ても経営者として未熟だったりとスムーズには進まない。

③の「廃業」に至っては、従業員や取引先をはじめ他者に重大な影響を与え、事業者にも多大なデメリットを与えることになりかねない。

 これらの状況を背景に、今、この大廃業時代を迎えるにあたり④のM&Aによる事業承継が急速に脚光をあびている。

 M&Aによる事業承継は譲渡会社の後継者問題を解決するだけではなく、事業意欲が旺盛な譲受会社との協業によりシナジー効果を発揮して、二つの事業体の相互発展を可能にする。

 ところで、実際にM&Aを実施するには対象となる企業の評価額を算出しなければならない。相続税の対策を行うには、現時点で万が一の場合相続税がいくらかかるのかを算定した後でなければ有効な相続対策を行えないのと同じように、事業承継を考えるにあたってまずは自社の評価額がいくらなのか算定することから始めるのが手順だろう。

 企業評価の手法としては
Ⅰ.コストアプローチ(時価純資産法など)、
Ⅱ.マーケットアプローチ(EBITDA法など)、
Ⅲ.インカムアプローチ(DCF法など)の3つがあり、それぞれの評価額をもとに企業評価が進められていくのであるが、あさひ会計では東証一部上場企業である㈱日本M&Aセンターと共同で無料の「簡易企業評価」を実施している。
 最近、あさひ会計のクライアントである企業様にあっても事業承継の手段としてM&Aを採用される事例が多くなっている。まずは「簡易企業評価」を受けられてはどうだろうか。それを一つの判断基準として今後の事業承継を考えることをお勧めする。

 

 

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