私も著作の一冊くらいはモノにしたいと思いつつ、忙しさに紛れてなかなか手をつけられずにいるのだが、税理士の大石豊司氏の著書「社長の指南書」は共感する面が多く大いに参考になった。何百人もの社長様にお会いし、かつ、その手腕の結果を見させて頂くポジションというのはそうそうあるものではない。その意味では会計人は経営に関する見解をもっと世に問うべきなのかもしれない。
著者は、社長の悩みは3つに分類できるという。1つ目は、社長が将来に向けての夢のあるビジョンが描けないということ、2つ目はダメな社員についての悩み、3つ目は経営の基本業務のやり方がわからないというものだ。会計事務所は多くのいい会社、いい社長、いい取り組みを見させて頂いており、そんないい事例をお客様にお伝えすることでいい会社の輪を大きくしていくことも会計事務所の使命だと述べている。
あさひ会計も、経営理念の策定、ブランディング構築、人事制度(評価制度、賃金テーブル、昇進昇格制度)の導入、朝礼、クッシュボール(24時間以内におきたGoodな出来事の発表)、稲盛和夫氏の著作の輪読、サンクスカード、町内の清掃、クレド、MQ会計、YGテスト、延べ26時間の新卒採用試験など自らの改革とお客様への情報提供を兼ねて実験的に盛り沢山のことを導入して試している。
著者は「経営者の3つの悩み」に対して、社長はどうあるべきか、どうすべきかについてこと細かにその方策を述べている。例えば、「経営者には7つの資質」が求められるという。
①情熱があること・・・知識やスキルだけでは経営は続けられない。
②ビジョンがあること・・・社長が方向性やあり方をハッキリと意思表示すると、価値観の合わない社員は出て行くので、残った社員はベクトルが合ってくる。だから中小企業こそ経営理念をつくるべきだ。
③営業力があること・・・売り込む力のない会社は成功する可能性は限りなく小さい。
④覚悟を持った決断をすること・・・重要なテーマは全員の総意や多数決で決めてはならない。社長と他の人では決定に違いが出る。最終責任はすべて社長が負う。
⑤社員に誠実であること・・・社員に対する慈しみ深さは、大きく成功する社長の必須要件。
⑥能力のない人を使えること・・・会社は4番バッターだけで運営は出来ない。縁の下の仕事をやってくれる社員も会社にとっては大切。
⑦自分より優れている人を使えること・・・何でも出来る社長などいない。自分が苦手な面は優秀な人にやってもらえばいい。