絵本を読む(2015_9月号)

絵本を読む(2015_9月号)

監査1部  渡邉沙瑛子

みなさんは子どもの頃どんな絵本を読みましたか?最近では、子どもだけはでなく大人が自分のために絵本を選んだり、友人に絵本をプレゼントしたりすることが多くなってきているそうです。
私も絵本を手に取る機会がめっきり減っていましたが、先日、「とてもかわいい絵本があるのよ」と近所の方が一冊の絵本を貸してくれたのです。「せっかく借りたから読んでみよう」というくらいの気持ちで、なんとなく絵本のページをめくりました。ところが、数ページ読むと、にぎやかなかわいいイラストとキャラクターのほほえましい言動に自然と笑みがこぼれ、読み終わると心がほっこりと温かくなりました。絵本は大人も楽しめる読み物であると改めて感じました。
そこで今回は、ジーンとして、少し考えさせられる、大人も楽しめる絵本として『100万回生きたねこ』(佐野洋子 著 講談社)を紹介します。

≪あらすじ≫
 100万回も死んで、100万回も生きたねこがいました。100万人の人がそのねこをかわいがり、100万人の人がそのねこが死んだときに泣きました。あるときねこは誰のねこでもない、のらねこになりました。やがて一匹の白く美しいねこに魅せられます。ある日、白いねこはねこの隣で静かに動かなくなりました。ねこは初めて泣きました。100万回も泣き続けて、ねこも白いねこの隣で静かに動かなくなりました。ねこは二度と生き返りませんでした。
『100万回生きたねこ』(佐野洋子 著 講談社)

私がこの本を初めて読んだのは、小学校低学年の頃でした。白いねこが息を引き取る場面では、思わず涙を流してしまった記憶がありますが、その悲しい結末があまり好きではありませんでした。
しかし、大人になって読み返してみると今まで何があっても何も感じず生き続けたねこが、愛や悲しみという感情を持てたことに気がつき、なんだかホッとしました。
なぜねこはもう二度と生き返らなかったのか、というところは読んだ人によって考えが異なるところかもしれません。ぜひ実際に手に取って読んでいただければと思います。
子どもの頃に読んだ本でも、大人になって読み返してみるとまた違った印象を受けることもあるかもしれません。

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