このところ中小企業の自己資本比率が上昇しているという。自己資本比率とは総資産に占める自己資本の比率であるが、自己資本比率が40%を越える会社は一度や二度の不況が来ても潰れないといわれている。
貸借対照表は、左側に表示される企業が保持している現預金、売掛金、土地等の財産(資産)と、その財産の源泉で貸借対照表の右側に表示される返済する必要のある借入金、買掛金等の他人資本(負債)及び返済する必要のない出資者からの払込金である資本金等、過去の利益の蓄積である利益剰余金等の自己資本(純資産)から構成されている。
自己資本比率が高いということは相対的に負債が少なく、金利の負担や資金の返済も多くないため、他人資本の影響を受けにくく経営的には安定しているといえる。自己資本比率が極めて低く借入金に依存している会社は資金繰りが厳しく、銀行も融資を控えるようになり資金調達が難しくなるため、経営的には不安定といえる。
日本の中小企業の自己資本比率はおおよそ次の通りである。
建設業・・・・・16.0%、 製造業・・・・16.8%
卸売業・・・・・15.1%、 小売業・・・・ 8.4%
飲食宿泊業・・2.6%、サービス業・・18.0%
(中小企業庁調査・発表)
経営者としては、会社を永続させるために自己資本比率40%を目指したいところであるが、それではどのようにすれば自己資本比率を高めることが出来るのだろうか。
① 払込資本を増やす
増資をすれば直接的に自己資本が増え、自己資本比率は高まるが、中小企業の株主はほとんどが経営者一族であり、そう容易く増資は出来ない。
② 総資産を縮小する
売掛金の回収を早める、棚卸資産を出来る限り少なくするなどにより現金を増やし借入金を返済したり、買掛金を現金決済して総資産を圧縮することは非常に有効な経営改善策で、自己資本比率を高める。
また、土地なども自己所有せずに賃借することも総資産を圧縮でき、自己資本比率を高めることに寄与する。
③ 利益を蓄積する
経営者の心情として「どうしても税金を払いたくない」と思われる方もいらっしゃるかもしれないが、今や法人税の実効税率は35%程度であり、利益を出し、税金を払い、残りを蓄積して自己資本比率を高めるのが経営の王道と私は思うのである。
資産を圧縮し、利益を出し続ける経営体質をつくり、税金を払い、自己資本比率を高めるのが経営手腕といえるのだろう。