非公認会計士たれ!(2018年_11月号)


 

  今年は「公認会計士制度70周年」に当たり、これを記念して日本公認会計士協会は㈱ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長を招請して記念講演会を実施した。

 講演の中で柳井氏は、「公認会計士は帳簿をチェックする人、ハンコを押す人になっています。これでいいんでしょうか?本当にこれでいいんでしょうか?」と問うている。
 「どんなに儲かっている会社でも、ただ同じことを繰り返すのでは、遠からず潰れてしまう。だから私たちは、常に変わろうとしてきました。」しかし、経営者自身、何が問題なのか、何が課題なのか、何がチャンスなのか、何が成果なのか判らないケースが多いのだという。
「公認会計士はもっと経営者と一緒になって、企業経営自体を内側から主導する存在になっていくべきでないでしょうか。」柳井氏自身は、たまたま公認会計士の書いた本を読み、上場を決意し、一緒に経営について考えることができ、非常に幸運だったと語っている。

 柳井氏は公認会計士向けの講演会なので、「公認会計士」と言っているが、あさひ会計が行っている「税理士」業務についても全く同様だ。税理士が帳簿をチェックし、決算書を作成し、税務申告書を作り、押印する人になってしまっているのでは、RPA(パソコン内のロボット)やAI(人工知能)の時代になれば数値はすべて自動的に計算されるようになり、これまでの業務しかできない税理士(会計士)は無用の長物になってしまいかねない。
 柳井氏は、既存の枠を飛び越えるという意味で「非公認会計士」になってほしいという。大切なことは、会計士が経営者と一体となって、会社のビジョンを作り、それを実現するためのルールを敷き、経営者がプロセスを相談し、実行するパートナーになってほしいという。

「社長、あなたの最終目的は何ですか?」
「何を実現したいのですか?」
「その計画はありますか?」
「誰が、いつまで、どの水準でやるのですか」
 
 柳井氏は、人間にとって一番大事なことは志なのだという。会計士は、会計という強力な武器を使い、経営者のマインドをもって、日本の企業経営全体のレベルを上げる志をもて、それこそが会計士の仕事だと鼓舞する。

 あさひ会計は、「私達は、質の高い仕事を通じ、お客様の継続、発展に貢献します」という理念を掲げ、これまでも企業の税務、会計にとどまらず、非営利分野や地方公共団体を対象とする公会計分野まで範囲を広げ、事業承継対策やM&Aに関わるデューデリ、組織再編等と業務の深度を掘り下げてきたが、柳井氏が述べるように改めて企業経営者とともに歩むのが使命だと誓った次第である。

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