節税の究明(2015_3月号)

あさひグループ代表 柴田健一節税の究明(2015_3月号)

節税には3つのレベルが存在する。

①利益が減るが資金も減少する節税
②利益が減るが資金は減少しない節税
③利益も資金も減少しない節税

レベル1の節税は利益も資金も減らして節税するので会社の財務内容は悪化するため基本的には経営上勧められない。一概には言えないが、生命保険を用いた節税やオペレーティング・リースを用いた節税はレベル1の節税に当たる。

レベル2の節税には、家賃の前払や損害保険の前払等で一年未満の前払いを費用処理するケースや機械を取得した場合の特別償却などが該当する。重要性の見地からの処理の簡素化や中小企業の競争力強化・生産性向上を図る税務上の政策的処置などだが、資金の減少はなく中小企業は徹底的に活用すべきだ。
ただ、レベル1の節税もレベル2の節税も一般的には納税を繰り延べているだけであり、将来的には課税されることになる。その意味では一時的な節税といえる。とはいえ、今後法人税率は20%台に引き下げられることになっており、課税の繰延べもそれなりの意味がある。レベル1にしろ、レベル2にしろ、課税が繰り延べられれば現在と将来の税率の差額は永久に節税となるからだ。

レベル3の節税はそのものが永久的に課税されない究極の節税である。しかも、利益も資金も減少しないホンモノの節税である。
レベル3の節税は「税額控除」といわれ、法人税額の一定割合が税額から控除される。
経営者はこの「税額控除」の項目は税務戦略上、常に頭に入れておくべきだろう。
実施されている「税額控除」は多数あるが、代表的なものを見てみよう。

①試験研究を行った場合の税額控除

製造業における発明、改良、考案に要する費用のほかに、小売・サービス業等でも新規サービスの発見、試験的導入のための費用が発生した場合は「税額控除」の対象となる可能性は大いにある。

②機械等の取得に係る税額控除

一定額以上の設備投資をした場合、まずほとんどの場合「税額控除」の対象となると考えて良い。設備投資の場合、レベル2の節税である特別償却の対象にもなるが、重複して適用はできない。しかし、「税額控除」を採用すれば永久的に節税となる。

③雇用者の数が増加した場合の税額控除

中小企業の場合、2名以上かつ増加割合が10%以上なら一人につき40万円の税額控除、ただし、地方で本社機能を強化した(建物を建てた)場合は増加割合に関係なく一人につき50万円の税額控除が受けられる。

④給与支給額が増加した場合の税額控除

雇用者に対する給与支給額の増加率が3%以上の場合、増加額の10%の税額控除が受けられる。

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