公認会計士・税理士 田牧 大祐
今年6月閣議決定した2017年の骨太方針は、「人材への投資を通じた生産性向上」という副題であり、経済再生、人手不足など、日本の抱える重大な課題を、生産性の向上により解決するとしている。
2016年の日本の1人あたりの労働生産性7万4,315ドルは、OECD(経済協力開発機構)加盟国35ケ国中20位の数値である。GDPで世界3位の日本が20位ということで、1人当たりの生産性は諸外国と比べて低い。
また、あわせて閣議決定された「未来投資戦略2017」は400ページ近い内容であるが、インフラ、医業、航空あらゆる分野の施策が具体的内容で面白い。第4次産業革命(IoT、AI等)があらゆる産業界に普及し、劇的な変革をもたらす可能性を感じる。
『全社員生産性10倍計画』の著者本間卓哉氏は、ITが効く4つの分野として、以下のものをあげている。
①「効率化(時間)」に効くIT活用法
仕事に使っている時間をITで可視化してムダを見つけることで、的確な効率化を図る
②「人」に効くIT活用法
人を増やさず、1人あたりの仕事量をITで押し上げることで組織力を高める
③「顧客」に効くIT活用法
顧客の醸成(リードナーチャリング)とマーケティングにITを活用すべし
④「リスク」に効くIT活用法
セキュリティの気遣いは自社を守るだけではなく、顧客へのアピールになる。
会計の分野でのITを使った業務効率化では、立替経費の精算を「領収書の写真を撮って送信」するというサービスがある。これだけで精算は終了。金額の算出と会計仕訳の起票まで完了するというものがある。
また、顧客管理の分野では各人の持っている名刺をクラウド上で管理するというサービスがある。このサービスを利用することで、名刺をファイルから探す手間がなくなり、営業担当者個々人が保有している情報が全社的な情報として活用することが可能となる。
多くのスタッフの間接業務時間を改善すれば、全社的な効果は大きい。たとえば、50人の会社で1人1日10分時間短縮できれば、合計1名分の時間が空くこととなる。スケジュール管理、情報共有、電話をつなぐ時間、移動時間、会議の時間など、短縮できる間接業務は社内に山のようにあると思われるが、生産性向上に向けて、ぜひ今一度、社内の業務をチェックしていただきたい。
会計に係る部分だけでもチェックポイントをあげると、以下のようなものがある
☐ 会計伝票を手書きしている
☐ 経費精算を手書きしている
☐ 業務管理ソフトと会計ソフトが連動していない
☐ インターネットバンキングの活用が進んでいない
同封しているチラシのとおり、『全社員生産性10倍計画』の著者である本間卓哉氏を迎えての「業務効率化セミナー」では、劇的に業務効率をあげるITサービスも紹介するので、ぜひ参加頂きたい。