ロボット時代の幕開け(2018年_11月号)

公認会計士・税理士 田牧 大祐

 毎朝就業開始時刻8時30分、あさひ会計の全職員が朝礼を始めるその時間、動き出すスタッフがいる。RPA※1、あさひロボテック※2である。

 あさひロボテックは、業務ソフトにログイン、顧客ID、PWを入力、e-taxのメッセージBOXにログイン、日々届く国税庁e-taxメッセージ(申告している法人ごとに届く消費税の申告期限、源泉所得税の納付期限のお知らせメール等)を確認、未開封のメッセージを確認すると電子ペーパー化、データを当該顧客の担当職員の電子トレイに送信する。

 IT担当佐々木の横のPC画面では、あさひロボテックが、約600社分のメッセージBOXを毎朝覗いており、今や、あさひ会計では職員が1社あたり5分程度かけて顧客先のe-taxメッセージを取得するため確認時間は不要となり、600社分の確認作業時間が削減されている。

 また、あさひ会計顧問先の地方自治体が使用している会計ソフト標準システムから出力された財務書類のエクセル上の数値を“0”円から“-”円に変更、不要な行の削除もあさひロボテックがやっている。職員が1団体あたり1時間程かけてエクセル加工する第一段階の見栄えの調整を、あさひロボテックが1分でやってしまう。形式調整による職員の目の疲れも、修正忘れも、もちろんない。

 仙台市でも9月に行政事務のRPA利活用の検証契約を締結したというニュースがあったが、今や多くの自治体で人手不足対応、働き方改革に向けてRPA導入の検討が進められている。自治体でも、会計事務所でも、事業会社でも日々の業務の判断が不要、ルールに従った処理をRPAに代替させることで、職員の業務内容は劇的に変わるであろう。企業にとってロボット配置は必須の時代である。

※1 RPA:Robotic Process Automation、データ入力や複数アプリケーションの連携を行うソフトウェアロボット。ロボット開発担当者は超人手不足状態。
※2 あさひロボテック 
形式:WinAutomation
開発:ASAHI ACCOUNTING ROBOT 研究所(顧問先や中小企業、会計事務所の業務をロボットで効率化することを目的とするロボット研究所)
担当:NOBU佐々木

<現在稼働中のあさひロボテックの紹介>
1号 モリテック: e-taxメッセージを開くという単純作業に嫌気がさした守とNOBUの渾身の初号機。会計事務所に向けて販売予定。
2号 ツカテック: 自治体向け会計ソフトから出力されたエクセルの不要な行をひたすら消去、“0”円を変換するという形式調整に疲れた公会計担当佐藤司念願のロボ。同じく公会計ロボットのRⅡKも間もなく起動。
3号 モリテックⅡ:顧客の決算期の更新に合わせ、顧客ごとの翌年の管理フォルダとデータを自動作成。地味に効率化に貢献。
4号 アトシマⅡ:電子ペーパー化フォルダ内の消忘れ不要データを全員帰宅した夜中に消去するロボ
他:エクセル表から転機入力による自動グラフ化などの名無しロボら

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