中東の奇跡ドバイ(2018年_4月号)

公認会計士・税理士 田牧 大祐

8824万人。これは、2017年のドバイ国際空港の国際旅客数であり、世界一の人数である。先日、UAE(※)第2の国ドバイ首長国に訪問する機会があったが、空港で飛行機を降りてのバス移動時間がとにかく長く、並ぶ航空機の数は桁違いであった。さらに現在、第2国際空港も建設中であり、最終的には1億6千万人の旅客数を目指しているということであり、到着早々に驚かされた。なぜ世界NO1の国際旅客数をさらに倍増する整備計画があるのか。
ドバイの人口は、わずか250万人(うち9割は外国人)であるが、世界一高いビルのブルジュカリファ、世界一大きいショッピングセンターのドバイモール、世界でただ1つの7つ星ホテルBAAジュメイラ、個性的な人工島のパームジュメイラ等があり、1970年代より、将来枯渇する石油に依存せず、観光都市に変わるという取組が成功しており、観光都市として今なお成長を続けている。ブルジュカリファの展望台から見渡すと、遠くは一面の砂漠の地平線、そして海岸線であるが、足元を見ると町中がビルの建設ラッシュである。

ドバイ訪問の所感は、
① ドバイのGDPに占める石油産業の割合はすでに1%台。すでに石油資源が少なく、石油に依存していない。計画そのままに進行していることが驚き。アブダビは今なお石油資源は豊富。
② ビルの建設スピードが日本とは圧倒的に違うようだが、これはビルが近接していないこと(砂漠で土地が豊富)、そもそも建設地に既存建物がないこと、土地はフラットであることが圧倒的なスピードを生んでいると感じる。なお地震はあっても震度2程度とのこと。
③ ドバイの政府収入はホテル宿泊手数料等のサービス収入が主なもので、2018年より付加価値税(消費税)等が導入された。現在も法人税、所得税はない。
④ 街中に高級スポーツカーが多い一方、ビル建設作業員やタクシー運転手等、ワーカーの月収は3万円から5万円で、彼らは夜、砂漠のキャンプで寝泊りしているという超格差社会
⑤ アルコールはホテルのレストランでしか提供されない。街中のレストランにアルコールはない。これは観光都市として致命的な問題のようにも感じるが、イスラム教の国を前提としての訪問と考えるとそれほど影響はないのも知れない。
⑥ ドバイでは、火星移住計画、3Dプリンタによるビル建造(2025年には新規建造の25%を3Dプリンタによることを目指している)、ハイパーループなど、世界が注目するプロジェクトが多数進行中。現在、知的財産のハブになることを目指している。

ドバイは、最後のフロンティア、アフリカのゲートウェイであり、様々な取組により、今後ますます経済の重要な拠点になると思われる。さらに、2020年には国際博覧会が開催されるという。近いうちにまた行きたいと思うドバイ訪問となった。

(※)アラブ首長国連邦:アブダビ、ドバイ等の7つの首長国による連邦制で、外交、軍事等を連邦政府の所管とし、石油、経済は各首長国の権限となっている。UAE大統領は、アブダビ首長が務め、UAEの原油の9割、国土の8割、GDPの6割、人口の4割をアブダビが占める。

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