今後の会計事務所の行方(2018年_1月号)

 

今回で“あさひ通信”はめでたく150号を数えることとなった。12,3年間毎月毎月よくぞ続いたと振返るとともに、お付き合いいただいた皆様に感謝申し上げる次第である。

150号を機会に今後の会計事務所の行方について探ってみた。これまでの会計事務所の主たる業務は試算表を作り、決算書を作り、税務申告書を作ることであった。ところが、2015年12月に野村総研から発表されたオックスフォード大学のオズボーン准教授の日本版レポートには日本の労働人口の49%が技術的には人工知能等で代替可能になると記載されている。具体的には、「AI(人工知能)等による代替可能性の高い100種の職業」の例示の中に「会計監査要員」、「経理事務員」、「データ入力係」があり、現在、会計事務所がメインとして行っている業務がすっぽり取り込まれているのである。つまり、今後、数年のうちには会計事務所の業務がAI(人工知能)に取って代わられてほとんどの所員の仕事がなくなってしまうというのである。

では、会計事務所の本来の仕事とは何だったのだろうか。税理士法第一条には「税理士は・・・納税義務の適正な実現を図ることを使命とする。」とあるが、その使命は当然のこととしてお金を払っていただく経営者の皆様は会計事務所に何をもとめているのだろうか。日本M&Aセンターの金子義典氏が面白いことを言っていた。「経営者にとって金融機関はあくまでも“債権者”なんですよ。我々は“業者”です。それに引き換え会計事務所は“参謀”なんですよ。それを会計事務所の方は知らないんです。あるいは過小評価しているんです。」つまり金子氏は、会計事務所はもっと“参謀”としての役割を果たすべきだというのである。

なるほど。あさひ会計も最近では従来型の業務を超えた業務をいくつも実施している。例えば①金融機関対応支援、②内部統制構築支援、③組織再編等を絡めた事業承継支援、④補助金申請支援、⑤クレド作成等による企業風土改善支援、⑥ITインフラ整備支援、⑦M&A支援、⑧クラウド会計導入による業務改善支援、そして勿論、⑨MQ会計による経営改善支援等々である。
これからの会計事務所は、「決算」や「税務申告」を基本業務としつつ、上記のような“参謀”としての役割を経営者の皆様からますます要請されてくるのだと思う。あさひ会計グループは、現在、公認会計士6名、税理士7名、中小企業診断士2名、特定社会保険労務士1名を含む総員数87名を擁し、新しい時代の会計事務所へ進化するべく、地方公共団体を支援する公会計部、公益法人や社会福祉法人を支援する非営利法人担当チーム等に加え、近く、参謀業務を担当する“企画・戦略部”を立ちあげたいと思っている。

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