知っておきたい「贈与税」「相続税」の基礎知識~第3回~相続税がかかるの?(2018年_2月号)

相続サポートセンター 税理士・行政書士 白田 文

■『基礎控除額』が6割に縮小されました。
平成27年からの下記の改正により、相続税の申告が必要な方が増えました。
東北でみると、改正前は亡くなられた方のうち申告の対象となる割合は約1.8%でしたが、改正後は約4.0%と2倍以上になりました。
<改正前の基礎控除額>
5,000万円+1,000万円×法定相続人の数
<改正後の基礎控除額>
3,000万円+600万円×法定相続人の数

■相続財産を把握しましょう
申告が必要なのは、亡くなられた方の『プラスの財産』から『マイナスの財産』と『葬式費用』を差し引いた金額が、『基礎控除額』を超える場合です。

<プラスの財産>
私たちが、いわゆる“財産”と思っているもののほか、死亡にともなって支払われた『死亡保険金』や『死亡退職金』も、課税の対象なのです。
また、死亡による保険金が支払われなくても、亡くなった方が保険料を払っていた保険契約があれば、これも含まれます。“保険料相当額の貯金”と考えると分かりやすいですね。
忘れがちなのが、自社株式。「売れないのに、課税されるの?」と思ってしまいますが、これも相続税の課税対象です。会社設立時の出資が、会社の発展とともに、出資額以上の価値となっていることもよくあります。
自社への貸付金があれば、これも含まれます。

<プラスの財産>
・不動産(土地・建物)
宅地、居宅、農地、店舗、貸地など
・不動産上の権利
借地権、地上権、定期借地権など
・金融資産
現預金、株式、投資信託、国債、貸付金、売掛金など
・動産
車、家財、骨董品など
・その他
死亡保険金、死亡退職金、ゴルフ会員権、著作権、生命保険契約・建物更生共済契約に関する権利など

<マイナスの財産>
・借金等
銀行借入金、買掛金など
・公租公課
未払いの所得税等、住民税、固定資産税など
・その他
未払いの医療費、預かり敷金など

■特別な取り扱いに留意しましょう。
<死亡保険金> 残された家族の生活保障のために次の金額までは、課税されません。
非課税枠=500万円×法定相続人の数
<死亡退職金> 死亡退職金についても、同額の非課税枠があります。
<生前贈与> 生前にされた一定の贈与は、相続税の計算上、相続財産にその金額を含めての計算となりますので、注意が必要です。

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