公認会計士・税理士 田牧 大祐
電力の小売自由化は2000年3月より段階的に対象が広がり、2年前の2016年4月より電力の小売全面自由化※となった。これは、エネルギー関連サービスの多様化と競争環境により電力業界の活性化を背景に進められてきたものである。2年前は、様々な新電力の広告があり検討した会社もあるが、一方で、新電力を活用している企業はまだ1割程度という調査結果もあり、まだ十分に浸透していないと思われる。
新電力に関して、よくあるQAをあげると、
Q1 電力会社を変えると、新たに電線を引く必要があるのか。
A1 今ある送配電網を使うので、工事の必要はない。
Q2 停電の可能性(供給の信頼性)は電力会社の変更により高まるのか。
A2 どの会社と契約しても供給の信頼性に違いはない。
Q3 契約した新電力の電力会社が倒産した場合は、電気の供給はストップするのか。
A3 供給が停止する事はない(一般電気事業者から電力が供給される)。
先日、お客さまの食品製造業の会社では、一般電気事業者から新電力事業者へと契約変更した結果を試算したところ、年間1百万円の経費が圧縮になるということであった。一定の電力量の使用があれば、その効果は大きい。一般電気事業者と比較し、年間約8%の電力料金の圧縮になる場合もあり、これは1年でいうと1ヶ月分の電気料金が浮くということである(高圧以上の電力契約)。
また、新電力も料金やサービスが様々である。電気とガス、電気と省エネサービスなどの組合せで経費圧縮の効果がさらに上がる場合もある。
まずは、キュービクルのある施設をもつ法人においては、一考の余地があると思われる。
※小売電気事業者は、現在全国で496事業者の登録となっている。