山形相続サポートセンター 齋藤 美穂
『磯野家の相続税』は、日曜の夕方にお馴染の磯野家の人々を事例に挙げて、相続税の基本知識から相続税対策までをシミュレーション解説している本です。相続の基本、遺産分割、遺言書について書かれた『磯野家の相続』の続編でもあります。
税金は、仕組みが複雑で難解なだけでなく、用語そのものが聞き慣れないため、理解しにくいものですが、磯野家に例えるだけで、税金アレルギーが少しは無くなるように感じます。
例えば、内容を一部ご紹介いたしますと…
(波平が亡くなった設定になっています) → 相続税を支払うことになるのは、波平の財産を受け継いだ、フネ・サザエ・カツオ・ワカメの4人です。受け継いだ財産に対して税金が課され、それぞれが支払うことになります。波平の財産から徴収するのではありません。 |
“被相続人”や“相続人”という言葉で表わされると、どちらが亡くなった方なのかさえ区別がつかない方も多い中で、それを波平やフネ、サザエ、カツオ、ワカメに置き換えているだけでも、だいぶイメージしやすくなります。
また、この本では「大切なのは、実際の計算ができることよりも、考え方を理解すること」とあるとおり、HOW TO だけでなく、「なぜこういう計算をするのか」「なぜこれも財産とみなされるのか」といったWHYにも多く触れているため、理解が深まると一冊でした。
亡くなられた方のうち、相続税の納税が必要な方は約4%、山形県においては約1.4%です。現状は、ほんの一握りの人の税金とも言えます。
平成23年度の税制改正案では、相続税の基礎控除額や生命保険の非課税限度額の縮減などが検討されました。結果的には見送られたものの、1月6日に決定した「社会保障と税の一体改革素案」に再度同様の改正案が盛り込まれており、将来的に相続税は増税方向に進んでいくと予想されます。
「ねえ、父さん!しっかりと相続税の節税対策してる?」 とある昼下がりのこと、カツオは波平に相続税対策の状況を尋ねました。 |
なんだか想像するだけでも滑稽な場面ですが、あのカツオでさえも相続税の心配をしています。
遠くない将来、身近な税金になるかもしれない日に備えて、相続税に関心を持ち、今から節税の対策を始めても損はないのかもしれません。