CF(キャッシュフロー)経営の策定
企業活動とは、調達した資金を経営資源(ヒト、モノ)に投下して、商品やサービスを生み出し、販売することによって、投下した資金以上の資金を回収することを目的とした活動です。CF(キャッシュフロー)経営の基本は、小さなバランス(総資本)でいかに大きな利益を上げるかといえるでしょう。
これはROA重視の経営といわれ、下記の算式で表すことができます。
つまり、ROA経営とは
①より付加価値(率)の高い商品を・・・・例えば30%
②より少ないコストで(付加価値利益率を高く)・・・・例えば33%
③より短期間の資本循環(総資本回転率を高く)・・・例えば2.5回転
で販売することといえます。
具体的には、4億円の総資本(=総資産Assets)を使って1億円の利益(Return)を得ればROAは25%となりますが、その為には付加価値率(粗利)30%の商品を2億円の経費を使って売上を10億円にすれば、③総資本(4億円)回転率は2.5回転、①付加価値率(粗利率)30%で付加価値額は3億円、経費が2億円とすれば②付加価値利益率は33%で1億円の利益というわけです。
粗利率の高い商品を、低コストで、スピーディに売りましょうということになります。そのためには、コア・コンピタンス経営が必要となります。
コア・コンピタンス経営
コア・コンピタンス経営とは、以下のような経営手法です。
・自社が最も得意とし、核になる強みの分野に経営資源を集中し、効率を上げていく。(重点経営、効率重視経営)
・自社のヒト・モノ・カネにこだわらず、他社のヒト・モノ・カネを利用する。(アウトソーシング経営、アライアンス経営)
・「持つ経営から持たざる経営へ」「ストック経営からフロー経営へ」「土地持ち経営から土地レス経営へ」の転換を図る。(軽量経営)
キャッシュフロー計算書の構造
キャッシュフロー計算書は大きく3つに区分されます。
(1)営業キャッシュフロー(間接法)
営業活動からどのようにしてキャッシュフローを得ているか
「営業キャッシュフロー」がプラスであることが 健全経営の大前提
(2)投資キャッシュフロー
投資活動にいかにキャッシュフローを使い、どのように回収しているか
現状維持のための投資をしたうえで、(差引額が「フリーキャッシュフロー」となる)さらに、企業の将来のために投資(未来投資)を行うのが望ましい
「投資キャッシュフロー」はマイナスとなるのが正常
(3)財務キャッシュフロー
営業キャッシュフローと投資キャッシュフローの収支をいかに合わせるか
借入金返済等による財務内容の改善や、自社株の買入、配当増など株主への還元を行うのが望ましい
「財務キャッシュフロー」はマイナスとなるのが望ましい
(4)キャッシュフローの3つの区分は
①営業キャッシュフロー → プラス
②投資キャッシュフロー → マイナス
③財務キャッシュフロー → マイナス
の状態が「バランスのとれたよい状態」
(5)キャッシュフローのパターン
キャッシュフロー区分 | 類 型 | |||
---|---|---|---|---|
営業 | 投資 | 財務 | ||
○ | △ | △ | バランスがとれて余裕の 大人型 | |
○ | △ | ○ | 過大投資に注意! 成長型 | |
○ | ○ | △ | 将来の活力が心配な 財務体質改善型 | |
○ | ○ | ○ | 余裕がありすぎて 肥満型 | |
△ | △ | ○ | 今にみていろ 出世払型 | |
△ | ○ | ○ | 借金体質から抜け出せ 雌伏型 | |
△ | ○ | △ | 体質改善中 リストラ型 | |
△ | △ | △ | ジリ貧状態の 総退却型 |
○・・・キャッシュフローがプラス
△・・・キャッシュフローがマイナス
キャッシュフローの改善ポイント
1.営業キャッシュフローの改善
(1)利益なくしてキャッシュフローなし
→利益構造を改善する(損益分岐点分析)
①売上高を増やす
②変動費率を下げる
③固定費を削減する
(2)減価償却は定率法で早期償却
→税効果を加味し、現在価値計算すると、早期償却が有利
(3)営業運転資金のプラス転換
→営業運転資金=売上債権+棚卸資産-仕入債務
①売上債権回収強化(回転日数の短縮)
②適正在庫の実現
③買入債務回転日数の長期化
2.投資キャッシュフローの効率化
その投資は、企業の存続、発展のため必要か
(1)投資基準の確立
①投資収益率法(CFROI)
②回収期間法
③正味現在価値法(NPV法)
(2)投資バランスの検討
①設備投資、戦略的投資、有価証券投資、その他のバランスを考える
②優先順位とその限度額をあらかじめ決めておく
(3)非効率な投資の排除
①遊休資産の処分
②撤退基準の明確化
③定期的資産の見直し
3.財務キャッシュフローの態様
余剰資金あるいは不足資金をどのように配分、活用または補充するか
(1)財務体質を強化する
①経営指標による分析
②借入金返済、自社株買入等
(2)資金調達の多様化を図る
①銀行内での自社のポジション(格付)を知る
②直接金融の時代
社債、増資(VC、公開)、ABS(資産担保型証券)
(3)株主還元
①一株当たりキャッシュフロー
②キャッシュフロー版「配当性向」
支払配当額/営業キャッシュフロー