節税対策

企業経営において、税金はなるべく少なく抑えたいものです。そのためには早め早めに節税対策を行うことが必要です。

1.節税と脱税は違う!

理解しておきたいのが、節税と脱税は違うということです。

脱税とは、法律に定められたことに違反して税金を不当に低く抑えることで、明らかな犯罪行為です。
節税とは、法律で認められた中で適切な処理を行うことで税金を低く抑える、合法的な行為です。

つまり、節税と脱税は相反するものなのです。

2.脱税するとどうなる?

税金には、国税といって税務署に納めるものと、地方税といって県庁や市役所などに納めるものとがあります。

法人として事業をしている場合、一年に一度、決算をして利益を確定し、税務署に申告をしなければなりません。

しかしながら、必ずしも正しく申告されているとは限らないため、税務署が決算や申告内容に不正がないかどうかを実地調査することがあります。
それがいわゆる税務調査です。

この調査で、脱税が見つかると、本来納付すべき税金のほかに色々な罰金を支払わなければならなくなりますが、そのもっとも大きいものが重加算税です。
重加算税とは、本来支払う税金のほかに35~40%加算される税金です。
最初からきちんとまともに申告しておけば、払う必要はないのですが、脱税をすることで、払う必要のなかった余分な税金を取られることになるのです。

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3.中小企業は節税が好き*節税の4つのパターン*

節税には4つのパターンがあります。

(1)お金を使わないもの・・・税金が免除されるもの
(2)お金を使わないもの・・・税金が将来に繰り延べられるもの
(3)お金を使うもの・・・・・税金が免除されるもの
(4)お金を使うもの・・・・・税金が将来に繰り延べられるもの

それではひとつひとつ、簡単に紹介していきましょう。

(1)お金を使わず永遠に税金が免除されるもの

「お金をつかわない」というのは、節税のために新たにお金を使わないという意味で、節税対策の中ではベストな方法と言えます。

そのためにまず最初に考えたいのが「税額控除を使えないかどうか検討する」ということです。

例えば、中小企業が160万円以上の機械を購入すると、7%の税額控除が認められるという優遇税制がありますので、これを適用すると、200万円の機械を購入した場合、法人税は14万円減らすことができます。
税務申告書にて税額控除の意思表示をする必要はありますが、節税のために新たにお金を使う必要はありません。

税額控除はそのほかにも色々あります。詳しい内容については国税庁のタックスアンサーで調べられます。

*代表的な節税対策*
★固定資産台帳の見直し
現在は使用していない機械装置、備品類、ソフトウェア、営業車などを固定資産除却損として計上することができます。
★不良債権の見直し
回収の可能性が低い債権は、貸倒損失として全額損金に算入したり、一部貸倒引当金に計上したりすることができます。
(回収可能性が低いと判断した証拠書類の保存が必要です。)
★棚卸資産の評価損を計上する
著しく評価が下がった棚卸資産の評価を、時価にまで下げることができます。

(2)お金を使わず税金の支払いが将来に繰り延べられるもの

この節税対策を行うと、節税を行った事業年度は税額が減少し、資金繰りに良い影響を与えることができます。
納税のタイミングをずらすことにより、資金繰りを安定させることもできますし、
翌事業年度に繰り延べられた利益が赤字と相殺されるということも考えられますので、
条件さえ整えば、有効な節税対策といえます。
ただし、翌事業年度以降にそのしわ寄せが来るということも忘れてはいけません。

*代表的な節税対策*
★締め日以後の給料を未払い計上する
給料計算の締め日が15日、支給日が25日で、3月決算の会社の場合、
3月16日から31日までの15日間の給料を月末の決算時点で未払費用として計上することができます。
★決算賞与を未払い計上する
業績の良い事業年度に一定の要件のもとに決算賞与を未払い計上することができます。
★売上の計上基準を変更する
決算期末ぎりぎりに出荷した商品を、“検収基準(相手先が商品を検収した日)”での売上に変更すれば、その商品の売り上げは来期に計上されることになり、今期支払うべき税金が繰り延べられることになります。
★決算期を変更する
例えば、3月決算の法人で、3月中に大きな利益が上がる取引が見込まれ、その売掛金の回収が半年先であるという場合、法人税等の納付期限は5月末なので、資金繰りが非常に厳しくなります。
この場合、決算期を2月末に変更すると、法人税の納税を今年の5月末から翌年の4月末日まで先延ばしにすることが可能となり、入金終了後に納税することができます。

(3)お金を使って永遠に税金が免除されるもの

お金を使って損金計上額を増やし、税引前当期利益を減少させるこの方法は、節税対策としては最もオーソドックスな方法です。

 

(4)お金を使って税金の支払いが将来に繰り延べられるもの

本来、費用というのはその事業年度に対応する部分だけが損金として認められ、それ以降の年度に対応する部分については前払費用として資産に計上する必要があります。
しかし、その特例として、支払った日から1年以内に提供を受ける役務にかかわる支払であれば、前払いをしていても支払時点で損金として認めるという課税の特例があります。

*代表的な節税対策*
★短期前払い費用を利用する
利益の出ている年度の終わりに、翌1年分の事務所や店舗の家賃を前払いすると、
その部分も今期の損金として認められます。
結果的に、その年度と翌年度を合わせた24ヵ月間の家賃を今期の損金とすることができます。
★生命保険を利用する
例えば、毎年100万ずつ保険料を支払い、5年後に解約すると80%の解約返戻金を受け取れる、というのが基本パターンです。
わかりやすく言うと、
・利益の30%(実効税率)を税金として支払うか
・利益の20%(1-解約返戻率80%)を生命保険会社に支払うのか
このどちらかを選択するということです。
※※ 注意点 ※※
<その1>5年間黒字でなければ節税効果はありません 
もともと保険は、最大でも支払った保険料の80%しか戻らないので、
赤字の年度があれば、その年度の節税効果は得られず、20%以上のマイナスになってしまいます。
<その2>5年間保険料を支払い続けなければいけません 
資金繰りが苦しくなって、途中でこの保険を解約したとすると、解約返戻率が、支払った保険料の累計より低い場合があり、損失が発生するかもしれません
もちろん生命保険ですから、単純に資金繰りだけの問題ではありませんが、節税対策のために契約する場合には、注意が必要となります。
なるべく早い段階で、解約返戻金が 「1-実効税率」 より大きくなる保険を選ぶことがポイントです。

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